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2026-09-11テクニカルサポートSACD抽出DSDPureDSD Batcher

曲の境目で鳴るポップ:DSF の埋め、プレーヤー、そしてオプションにする理由

PureDSD Batcher で出した DSF が各曲の頭と終わりで大きくポップするのに、Pine Player Pro や SACD Ripper GUI の DSF no-pad では起きない、という報告を受けました。抽出が壊れているのではありません。 規格どおりの埋めと、プレーヤーの読み方の組み合わせです。既定は規格準拠のまま、no-pad オプションを追加します。

曲の境目で鳴るポップ:DSF の埋め、プレーヤー、そしてオプションにする理由

あるリスナーから手紙が届きました。PureDSD Batcher で一括抽出した DSF は、**各曲の始まりと終わりで大きな「ポン」**がする。同じディスクを Pine Player Pro、あるいは SACD Ripper GUI で DSF no-pad を入れて取り出すと、その音は出ない、とのことでした。

ファイルと再生経路を突き合わせました。先に結論です。

音は壊れていません。 DSF の規格どおり、曲の末尾にごく短い空白が埋められています。その空白まで DSD として再生するプレーヤーではクリックになります。本当の音楽の長さで止めるプレーヤーでは、同じファイルでも端は静かです。

だから「埋めをやめる」を既定にはしません。全員のファイル形を、一部のプレーヤーに合わせて変えてしまうからです。正しいのは、既定は規格どおり、クリックする再生系向けに DSF no-pad オプションを足すことです。


🛠 何が起きているか

DSF は、各曲のデータが決まった大きさのブロックで終わることを求めます。最後のブロックが音楽だけで埋まらないことが多く、足りない分は空白で埋めます。

ファイルには「本物の音楽がどこまでか」も書いてあります。その長さを守るソフトは、埋めを鳴らしません。一方、最後のブロックごと DAC に渡すプレーヤーやギャップレス実装は少なくありません。DSD の空白は無音ではなく、ビット列の跳びなので、ポンと聞こえます。

すべての機器・すべての盤で起きるわけではありません。有効長で切るソフト再生は平気なことが多く、ギャップレスやブロックごと送る DAC のほうが当たりやすい。リスナーが同じ再生環境で Batcher と no-pad ツールを比べた差は、ここに重なります。


📊 no-pad でファイルの何が変わるか

no-pad はプレーヤーへ「空白を飛ばせ」と伝える命令ではありません。ディスク上の中身を変えます。ブロックを埋められない残り(およそ 12 ミリ秒)を、この曲の末尾に残さず、次の曲の先頭へ移します。

1 曲目は本物の音楽だけでブロック境界に終わります。ナイーブなプレーヤーがクリックする空白が、ほぼ残りません。

通常抽出は曲末を空白で埋める。no-pad は約 12 ms を次曲の先頭へ移す

音楽の長さで止めるプレーヤー 最後のブロックを全部鳴らすプレーヤー
通常抽出(規格どおりの埋め) 問題なし 空白を再生 → クリック
DSF no-pad 問題なし(境目が十数 ms ずれる) 空白がない → 多くの場合クリックしない

代償もはっきりしています。

  • 2 曲目だけ単独再生すると、冒頭に 1 曲目のごく短い尻尾が乗ることがある。
  • 1 曲目だけだと、終わりがその分だけ短い。
  • アルバム通しでは、むしろ滑らかなことが多い。
  • 最後の曲はまだ埋める必要がある(次曲が無い)。アルバム末尾で残るクリックもあり得る。

no-pad は敏感な再生系向けの互換のための回避です。抽出器が音楽を壊した証拠ではありません。


既定を変えず、オプションにする理由

規格は最後のブロックを埋めるよう求めています。全員の埋めを切ると、問題のなかった人のライブラリまで形が変わります。

クリックしないプレーヤーはたくさんあります。その人たちは、ジャケットの時間やトラック分割と一致する、予測可能な DSF を望んでいます。no-pad を既定にすると、困っていない人のファイルまで変えてしまいます。

役割分担は単純です。

  • 既定:規格どおり抽出。 多くの GUI ツールと同じ。
  • DSF no-pad オン: 十数 ms を次曲へ移し、空白を音として鳴らすプレーヤーを避ける。

チャンネル選択と同じ判断です。多数派を動かさず、本当に痛いところだけスイッチにする。バグ扱いで既定をひっくり返すことはしません。


✅ これからやること

  • [x] 現行抽出が DSF 規格どおり最後のブロックを埋めていることを確認
  • [x] Pine Player / SACD Ripper GUI の no-pad と比較
  • [x] クリックが機器依存で、必発ではないことを確認
  • [ ] PureDSD Batcher に DSF no-pad オプションを追加(既定オフ)
  • [ ] オプションを入れた再抽出では、完了済みジョブを黙ってスキップしない

すでに出したファイルは自動では変わりません。クリックするアルバムは、オプションを入れて再実行してください。ISO 原盤を残しておけば、DSF はいつでも作り直せます。


⏳ 今クリックする場合

切り分けの短いリストです。

  • [ ] 同じ DSF を別プレーヤーで鳴らしてもクリックするか
  • [ ] 単曲再生か、アルバム通しのときだけか
  • [ ] 各曲の両端か、曲と曲のつなぎが主か
  • [ ] 曲間で DAC が一瞬 PCM に戻るか(別種のハード切り替え音)

使っているプレーヤーと DAC を書いてください。機種が分かれば、no-pad が効く連鎖か、DoP 欠落やリレー音と混ぜずに判断できます。

PureDSD Batcher の仕事は、一括抽出を安定させ、選択を手元に残すことです。既定はきれいで規格どおり。再生系が本当に必要なら、no-pad を入れてもう一度。